3名の司教任命と聖ペトロと聖パウロ使徒のお祝い

3名の司教任命と聖ペトロと聖パウロ使徒のお祝い
末吉町教会主任司祭 ヨゼフ 濱田 壮久神父
6月20日(水)20:05に聖アウグスチノ修道会のアルフレッド・バーク神父様が87歳で帰天されました。お通夜は6月24日(日)18:00から、葬儀ミサ・告別式は6月25日(月)11:00から横浜カテドラル(山手教会)で執り行われました。バーク神父様の魂の永遠の安息をどうぞお祈りください。
バーク神父様は1961年に来日した後、相模原、二俣川、末吉町、山手、戸塚・原宿で主任司祭を歴任し、大船の小教区管理者もなさいました。私たちの末吉町教会でも、1992年から1994年まで主任司祭として私たち共同体のために尽くして下さっていましたので、色々な場面でお世話になった皆様も多いことと思います。バーク神父様からいただいた霊的指導の賜物を大切にしながら、いつも祈りを大切にし、人と接するときは優しい笑顔を絶やさなかったバーク神父様の信仰の模範を思い起こし、私たちも倣うことが出来ますように。+Requiescat in pace.

さて、フランシスコ教皇様は6月2日(土)に、日本の教会に3名の司教を任命することを発表なさいました。2013年以来、司教空位であったさいたま教区に教区長として現サレジオ修道会日本管区長の山之内倫昭被選司教様(62歳)が、教区長が枢機卿に親任される大阪大司教区に補佐司教として、クラレチアン宣教会元総長で現大阪カテドラル主任司祭のホセ・アベイヤ被選司教様(68歳)と属人区であるオプス・デイの酒井俊弘被選司教様(58歳)が任命されました。司教叙階式は、大阪大司教区では前田枢機卿様の枢機卿親任報告も兼ねたミサとして7月16日(月・祝)11:00から大阪カテドラルで執り行われます。埼玉教区では9月24日(月・祝)11:00から浦和明の星学園ジュビリーホールで執り行われます。3名の被選司教様が聖霊の息吹に満たされて、日本の教会の礎として福音宣教の推進に大きな力を発揮してくださるよう私たちも心を一つに合わせてお祈りいたしましょう。
なお、この度、日本カトリック難民移住移動者委員会委員長の松浦司教様から横浜教区長の梅村司教様に依頼があり、私は船員司牧のコア・メンバー(AOS活動の全国担当者)の任命を頂きましたが、7月16日から17日まで神戸でAOS全国研修会を実施予定ですので、大阪で途中下車をしてアベイヤ被選司教様と酒井被選司教様の叙階式には参列しようと思っています。来月、皆様にも叙階式の様子をお知らせできればと考えています。

6月29日はカトリック教会の典礼暦では「聖ペトロ聖パウロ使徒 祭日」をお祝いします。二人はともにローマで殉教を遂げ、キリスト教信仰の礎を固めた人物です。聖ペトロはマタイ福音書の以下の記述にあるように、イエズス・キリストから選ばれ、使徒団の頭として教会の礎となった人物です。
【マタイ福音書】
16:13イエスは、フィリポ・カイサリア地方に行ったとき、弟子たちに、「人々は、人の子のことを何者だと言っているか」とお尋ねになった。16:14弟子たちは言った。「『洗礼者ヨハネだ』と言う人も、『エリヤだ』と言う人もいます。ほかに、『エレミヤだ』とか、『預言者の一人だ』と言う人もいます。」16:15イエスが言われた。「それでは、あなたがたはわたしを何者だと言うのか。」16:16シモン・ペトロが、「あなたはメシア、生ける神の子です」と答えた。16:17すると、イエスはお答えになった。「シモン・バルヨナ、あなたは幸いだ。あなたにこのことを現したのは、人間ではなく、わたしの天の父なのだ。16:18わたしも言っておく。あなたはペトロ。わたしはこの岩の上にわたしの教会を建てる。陰府の力もこれに対抗できない。16:19わたしはあなたに天の国の鍵を授ける。あなたが地上でつなぐことは、天上でもつながれる。あなたが地上で解くことは、天上でも解かれる。」

ペトロというのは「岩」という意味ですが、キリストによって付けられた名前であることが分かります。なお、ペトロは十字架にまさに架けられようとするイエズス・キリストとの間で、最後の晩餐の席で次のようなやり取りをします。

【マタイ福音書】

26:31そのとき、イエスは弟子たちに言われた。「今夜、あなたがたは皆わたしにつまずく。『わたしは羊飼いを打つ。すると、羊の群れは散ってしまう』/と書いてあるからだ。26:32しかし、わたしは復活した後、あなたがたより先にガリラヤへ行く。」26:33するとペトロが、「たとえ、みんながあなたにつまずいても、わたしは決してつまずきません」と言った。26:34イエスは言われた。「はっきり言っておく。あなたは今夜、鶏が鳴く前に、三度わたしのことを知らないと言うだろう。」26:35ペトロは、「たとえ、御一緒に死なねばならなくなっても、あなたのことを知らないなどとは決して申しません」と言った。弟子たちも皆、同じように言った。
ところが、大祭司の館で不法な裁判をお受けになった時、ペトロがイエズス・キリストの弟子だということに気づいた人との間で次のようなやり取りがありました。

【マタイ福音書】
26:69ペトロは外にいて中庭に座っていた。そこへ一人の女中が近寄って来て、「あなたもガリラヤのイエスと一緒にいた」と言った。26:70ペトロは皆の前でそれを打ち消して、「何のことを言っているのか、わたしには分からない」と言った。26:71ペトロが門の方に行くと、ほかの女中が彼に目を留め、居合わせた人々に、「この人はナザレのイエスと一緒にいました」と言った。26:72そこで、ペトロは再び、「そんな人は知らない」と誓って打ち消した。26:73しばらくして、そこにいた人々が近寄って来てペトロに言った。「確かに、お前もあの連中の仲間だ。言葉遣いでそれが分かる。」26:74そのとき、ペトロは呪いの言葉さえ口にしながら、「そんな人は知らない」と誓い始めた。するとすぐ、鶏が鳴いた。26:75ペトロは、「鶏が鳴く前に、あなたは三度わたしを知らないと言うだろう」と言われたイエスの言葉を思い出した。そして外に出て、激しく泣いた。

こうして男泣きに泣いたペトロですが、復活された主はペトロに次のような言葉をかけました。
【ヨハネ福音書】
21:15食事が終わると、イエスはシモン・ペトロに、「ヨハネの子シモン、この人たち以上にわたしを愛しているか」と言われた。ペトロが、「はい、主よ、わたしがあなたを愛していることは、あなたがご存じです」と言うと、イエスは、「わたしの小羊を飼いなさい」と言われた。21:16二度目にイエスは言われた。「ヨハネの子シモン、わたしを愛しているか。」ペトロが、「はい、主よ、わたしがあなたを愛していることは、あなたがご存じです」と言うと、イエスは、「わたしの羊の世話をしなさい」と言われた。21:17三度目にイエスは言われた。「ヨハネの子シモン、わたしを愛しているか。」ペトロは、イエスが三度目も、「わたしを愛しているか」と言われたので、悲しくなった。そして言った。「主よ、あなたは何もかもご存じです。わたしがあなたを愛していることを、あなたはよく知っておられます。」イエスは言われた。「わたしの羊を飼いなさい。21:18はっきり言っておく。あなたは、若いときは、自分で帯を締めて、行きたいところへ行っていた。しかし、年をとると、両手を伸ばして、他の人に帯を締められ、行きたくないところへ連れて行かれる。」21:19ペトロがどのような死に方で、神の栄光を現すようになるかを示そうとして、イエスはこう言われたのである。このように話してから、ペトロに、「わたしに従いなさい」と言われた。
ペトロは最後の晩餐の席でイエズス・キリストに対して力強く裏切ることはないと誓ったにもかかわらず、自分の身の危険を感じたときにイエズス・キリストの弟子であることをきっぱりと3度も否認しました。しかし、復活の後で弟子たちに現れて一緒に食事をしている場で、イエズス・キリストは3度「私を愛しているか」と問うことで、裏切りの罪を帳消しにし、「私の羊を飼いなさい」と言って、牧者としての、指導者としての使命を再び託しました。こうして、「あなたはペトロ、わたしはこの岩の上にわたしの教会を建てる。」という神秘的な教会制定の御旨は実現していくことになります。
なお、聖ペトロはローマで殉教を遂げ、聖パウロもまたローマで殉教を遂げました。現在は、聖ペトロの墓所の上にはバチカンのサン・ピエトロ大聖堂が建立され、聖パウロの聖遺物はサンパオロ・フォリ・レムーラ大聖堂(城壁外の聖パウロ大聖堂)に収められています。
さて、ベネディクト16世教皇聖下が2007年6月28日に行った「聖ペトロ・聖パウロ使徒の祭日の前晩の祈りの講話」では次のように聖ペトロと聖パウロについて説明がなされています。
使徒の時代にまでさかのぼる古代の伝承が語るところによれば、聖ペトロと聖パウロの殉教前の最後の会見はここからあまり遠くないところで行われました。二人は抱き合い、互いに祝福し合ったと思われます。この大聖堂の入口には二人の殉教の情景が一緒に描かれています。それゆえキリスト教の伝統は初めから、ペトロとパウロは切り離すことができないと考えてきました。もちろん二人はそれぞれ果たすべき使命を異にしていました。ペトロは最初にキリストへの信仰を告白しました。パウロはこの信仰の富を深めることのできる賜物を与えられました。ペトロは選ばれた民の出身のキリスト信者の最初の共同体を創立しました。パウロは異邦人の使徒になりました。二人は違うカリスマをもちながら、キリストの教会を築くという、同一の目的のために働きました。聖務日課の朗読の中で、典礼は聖アウグスチヌスの有名なテキストをわたしたちに黙想させます。「二人の使徒の記念のために一日が当てられています。けれどもこの二人は一人です。たとえ二人の殉教が別の日に行われたとしても、二つの殉教は一つです。ペトロが先になり、パウロが続きました。・・・・だからわたしたちは二人の使徒の血によってわたしたちのために聖なるものとされたこの祝日を祝うのです」(『説教295』:Sermones 295, 7. 8)。大聖レオはこう解説します。「言い表し尽くせない二人のいさおしと徳について、わたしたちはいかなる対立も違いも見いだすことができません。二人は等しく選ばれ、同じように労苦し、同じ終わりを遂げたからです」(『説教69――使徒の誕生について』:Sermo in natali apostolorum 69, 6-7)。

ローマでは最初の数世紀から、その使命においてペトロとパウロを結ぶきずながきわめて特別な意味をもつようになりました。ローマを生んだ神秘的な兄弟のロムルスとレムスと同じように、ペトロとパウロもローマ教会の創立者と考えられました。大聖レオはこのテーマについてローマに向けていいます。「この二人はあなたがたの聖なる父祖であり、真の牧者です。二人はあなたがたを天の国にふさわしいものとするために、あなたがたの城壁の最初の土台を築くことに努めた人々よりも優れ、幸いな者としてあなたがたを築きました」(『説教82』:Sermones 82, 7)。それゆえペトロとパウロは、たとえ人間的な

意味では互いに異なり、関係においては緊張もあったとはいえ、新しい国の創始者となりました。すなわち二人は、イエス・キリストの福音によって可能となった新しい真の意味での兄弟としてのあり方を実現したのです。そのためローマ教会は今日、自分の誕生日を祝っているということができます。この二人の使徒がローマの基礎を据えたからです。さらにローマは今、その使命と偉大さをますます自覚します。聖ヨハネ・クリゾストモはいいます。「太陽が光を注ぐときの天空よりもローマの町は輝いています。ローマは全世界にこの燃える松明(ペトロとパウロ)の輝きを放っているからです。・・・・だからわたしたちはこの教会の二つの柱のゆえに・・・・ローマの町を愛します」(『ロマ書講話』:In epistulam ad Romanos homiliae 32)。

ベネディクト16世教皇聖下が指摘なさるように、私たちの属するローマ・カトリック教会は、聖ペトロ聖パウロという偉大な二人の使徒、全教会の頭と異邦人の使徒をお祝いする時、いわば教会の誕生日をお祝いしているのです。教会の誕生日にあたり次の祈りを心を込めて捧げられると素晴らしいと思います。

【使徒聖ペトロと聖パウロの祭日の祈り(6月29日)】
すべてを治められる恵み豊かな神よ、▲使徒聖ペトロと聖パウロの殉教をたたえて祈ります。教会が信仰のいしずえとなった使徒の教えを受け継ぎ、その真理を世界に証しすることができるように導いてください。わたしたちが初代教会にならい、ともにパンを裂き、使徒の教えを守り、心と思いを一つにして、あなたの愛に生きることができますように。わたしたちの主イエス・キリストによって。アーメン。

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