9月6日は「被造物を大切にする世界祈願日」

9月6日は「被造物を大切にする世界祈願日」

末吉町教会主任司祭 ヨゼフ 濱田 壮久神父

 横浜市内の学校も8月17日から2学期となった学校も多く、私の勤務する中高も8月24日に始業式ミサが捧げられ、ウィズ・コロナの色々な制約はあれども、どうにか生徒たちが毎日元気に学校に通うことができるようになりました。

 末吉町教会でも、いまだに9月末まで「主日のミサ順守義務免除」が延長され、平日のミサは木曜日のみ、また、主日のミサについては、土曜日は信徒参列のミサが再開できず、日曜日のミサも100名に限って人数を絞ってのミサということで、皆様には多大な犠牲を払っていただいていること、本当に心が痛むとともに、皆様の忍耐強いご協力に心から感謝しております。

 末吉町教会としては、8月15日(土)に聖母被昇天の祭日をお祝いして、17:00から会衆の皆様には沈黙を守っていただきつつラテン語でロザリオの祈りを捧げ、17:30からミサをお捧げしました。このミサの中で、本来であれば4月11日(土)の復活徹夜祭で洗礼、堅信、初聖体を迎えるはずだった3名の方の入信の秘跡をお授けすることが出来ました。なお、復活徹夜祭以外での堅信の秘跡の執行は、堅信の秘跡の「通常の執行者」である司教にのみ留保されていますので、事前に横浜教区司教である梅村司教様に教会法上の「請願書」(Petitio)を提出し、法的拘束力を持つ「答書」(Rescriptum)によって堅信の秘跡執行の権能委任をして頂きました。3名の新しい兄弟姉妹を迎えて、末吉町教会が信仰共同体として豊かになっていくことを本当に神様に感謝しています。

 大きな喜びを味わうことができた8月でしたが、それでも、これまでの末吉町教会での信仰生活と比べると大きな違いがあります。このような変化の中で、改めて日々の祈りの重要性と、聖堂でのミサに与って、至聖なる聖体の秘跡にまします至聖贖罪主イエズス・キリストをお迎えできることがどれほど大きな慰めであるかを痛感しています。

 さて、フランシスコ教皇様は2015年5月24日聖霊降臨の祭日に回勅『ラウダート・シ―ともに暮らす家を大切に』を公布なさいました。この回勅をもとにして、2015年8月6日の書簡で全世界のカトリック信者に向けて、9月1日を「被造物を大切にする世界祈願日」とすることを発表されました。これは、東方正教会のコンスタンティノープル全地総主教ディミトリオス1世のイニシアティブで1989年から正教会世界で始められた9月1日を「被造物のために祈る日」として祝うこと、また、2007年からは9月1日からアシジの聖フランシスコの記念日である10月4日までキリスト教諸教会・共同体がエキュメニカルに「被造物保護期間」として祝うことにカトリック教会としてもエキュメニズム(教会一致運動)の観点から合流することを意味していました。

 日本の教会としては2016年9月の第1日曜日から「被造物を大切にする世界祈願日」を祝い始めましたが、2019年の同祈願日の教皇メッセージの中でフランシスコ教皇様が9月1日から10月4日を「被造物の時節(Season of Creation)」として祈りと行動を行うことを勧められたことと、同年11月23日から26日の日本訪問を受けて、日本のカトリック教会として2020年5月9日付で、9月1日から10月4日を毎年「すべてのいのちを守るための月間」として祈りと働きを捧げることを司教協議会会長のヨゼフ高見三明大司教様が発表されました。その際には、以下の4本柱を各教会共同体が実践することが呼びかけられています。

1)毎年9月第一日曜日(被造物を大切にする世界祈願日)に、全国で一斉に祈り、各共同体単位で具体的な行動を起こす。

2)期間中、「すべてのいのちを守るためのキリスト者の祈り」(2020年5月8日 日本カトリック司教協議会認可)を唱える。

3)地球環境の実態について学習し、エコロジー教育を推進する。

4)行政、自治体、環境保護団体などと連携して活動する。

 このようなフランシスコ教皇様のイニシアティブを受けての日本の教会としての取り組みは、『ラウダート・シ』の中でのフランシスコ教皇様の教えに基づいています。この回勅の中で、フランシスコ教皇様はアシジの聖フランシスコについて次のように述べています。

【ラウダート・シ】

10項:ローマ司教に選ばれたときに、導きとインスピレーションを願って選んだ名前の持ち主である、あの魅力的で人の心を動かさずにはおかない人物に触れないまま、この回勅を書くつもりはありません。聖フランシスコは、傷つきやすいものへの気遣いの最良の手本であり、喜びと真心をもって生きた、総合的(インテグラル)なエコロジーの最高の規範であると、わたしは信じています。彼はエコロジーの分野で研究や仕事に携わるすべての人の守護聖人であり、キリスト者でない人々からも大いに愛されています。彼は殊のほか、被造物と、貧しい人や見捨てられた人を思いやりました。彼は愛に生き、またその喜び、寛大な献身、開かれた心のゆえに深く愛されました。飾ることなく、また神と、他者と、自然と、自分自身との見事な調和のうちに生きた神秘家であり巡礼者でした。自然への思いやり、貧しい人々のための正義、社会への積極的関与、そして内的な平和、これらの間の結びつきがどれほど分かちがたいものであるかを、彼はわたしたちに示してくれます。

12項:さらに、聖書に忠実な聖フランシスコは、自然を、神がそこでわたしたちに語りかけ、ご自身の無限の美や善を垣間見させてくれる、壮麗な一冊の本とみなすよう誘います。「造られたものの偉大さと美しさから推し量り、それらを造ったかたを認め」(知恵13・5)ます。実に、「世界が造られたときから、神の永遠の力と神性は被造物に現れており、これを通して知られていた」(ローマ1・20)のです。そのためフランシスコは、野の花々や香草が成長できて、またそれを見る人々がそうした美の創造主である神を心から仰げるようにと、修道院の庭の一部をつねに人の手が加わらない状態にしておくよう求めました。世界は、解決すべき問題であるよりは、むしろ歓喜と賛美をもって観想されるべき喜ばしい神秘なのです。

 フランシスコ教皇様はこのように、私たちが生活する「ともに暮らす家を大切に」するよう呼び掛ける中で、人間だけにとどまらず、すべての命ある被造物、また、地球そのものに愛のまなざしを向けておられます。このまなざしを理解する霊性については次のように説明されています。

229項:わたしたちは互いに必要としていること、他者と世界に対して責任を共有していること、善良で正直であることにはそうするだけの価値があること、こうした確信を、わたしたちは取り戻さなければなりません。もう長らく、倫理、善、信仰、誠実さを茶化すことで、わたしたちは道徳的退廃を経験してきました。軽はずみな浅薄さは、ほとんど何の役にも立たないと認識するときが来たのです。社会生活の基盤が腐ると、対立する利害をめぐる争い、新たな形態の暴力と蛮行、そして環境を気遣う真の文化の成長の阻害が確実に起こります。

 このフランシスコ教皇様の2015年のことばは、聖霊に満たされた預言的な未来へのまなざしだということを、現在のコロナ・ウィルス感染拡大が止まらない世界で生じている一つ一つの現象を見ていると、痛感させられます。今、私たちに必要なのは、毎日の生活の中で「互いに必要としていること」、「他者と世界に対して責任を共有していること」、「善良で正直であることには価値があること」、「倫理、善、信仰、誠実さ」を取り戻すことに気づくことであると言えます。

230項:リジューの聖テレジアは、愛の小さな道を実践すること、また優しいことばをかけ、ほほえみ、平和と友情を示すささやかな行いのあらゆる機会を逃さないようにと、わたしたちを招いています。総合的な(インテグラル)エコロジーはまた、暴力や搾取や利己主義の論理と決別する、日常の飾らない言動によってもできています。つまるところ、消費が肥大する世界は、同時に、あらゆる形態のいのちを虐待する世界なのです。

 ウィズ・コロナの時代でも、私たちは毎日の生活の中で色々な場面で少なからず人々との交わりを持っています。多くの人の心の中に不安や恐れ、心配や不満、やり場のない怒りのエネルギーがあふれている時代に、人々との出会いの中で、幼きイエズスの聖テレーズが生きたのと同じ、「愛の小さな道」、つまり、優しいことばとほほえみを絶やさないことで平和と友情を増し加えていくことが出来れば、私たちはアシジの聖フランシスコのモットーである「平和と善(Pax et Bonum・パックス・エット・ボーヌム)」の実りを豊かに結んでいくことができます。

 それでは、私たちは、この「平和と善(Pax et Bonum)」をどのように結んでいくことができるのでしょうか。フランシスコ教皇様は次のように教えてくださっています。

235項:諸秘跡は、神が自然を、超自然的ないのちを仲介するものへと高める、特別に恵まれた手段です。神への礼拝を通して、わたしたちは異なる次元で世界を受け入れるよう招かれます。水、油、火、色は、それらが象徴する力すべてにおいて高められ、わたしたちの賛美の中に組み込まれます。祝福する手は、神の愛の道具であり、またわたしたちの人生の旅路に寄り添うために来られたイエス・キリストの近しさの映しです。洗礼の際にこどものからだに注がれる水は、新しいいのちのしるしです。神と出会うということは、この世界から逃げ出すことでも、自然に対して背を向けることでもありません。このことは、とくに東方キリスト協の霊性において明らかです。「美―東方において、神聖な調和を表現するのにもっとも親しまれている名の一つで、変容された人間のモデルであるそれは、教会の造形に、音楽に、色に、光に、香りにと、至るところに見られます」。キリスト者にとって、物質世界のすべての被造物が自らの本当の意味を見いだすのは、受肉したみことばにおいてです。なぜなら、神の独り子は、人となって物質界と結ばれ、そこに決定的な変化の種を蒔かれたからです。「キリスト教は、物質を否定しません。むしろ、身体性は、典礼行為において、その価値を全面的に認められており、そこでは、人間の身体は、その内なる本性において聖霊の神殿として示され、また、世の救いのために肉をお取りになった主イエスと結ばれています」。

 今、全世界では新型コロナ・ウイルス感染拡大防止のために、実際に聖堂でミサに与ることが禁止されているカトリック信者が数えきれないほどいます。また、末吉町教会でもゆるしの秘跡の告解室は使用中止になっていますし、病者の塗油については、各病院や老人ホームで厳しい入室制限があり、なかなか以前のようには秘跡に与る機会を確保できていません。このような状況の中で、改めて「祝福する手」は「神の愛の道具」であり、司祭の手を通して三位一体の神が私たち一人一人に今日も天からの恵みをもたらして下さることは、「わたしたちの人生の旅路に寄り添うために来られたイエス・キリストの近しさの映し」であることを改めて思い起こしたいと思います。このキリストの近しさは、聖体の秘跡において頂点に達します。このことをフランシスコ教皇様は次のように教えてくださっています。

236項:創造されたすべてのものがもっとも高められるのは、聖体においてです。感覚で捉えられるしかたで自らを顕(あら)わにしようとする恵みは、神ご自身が人となられ、被造物のためにご自分を食べ物としてお与えになったとき、このうえなきかたちで表現されました。主は、受肉の神秘の頂点において、ひとかけらの物質を通して、わたしたちの内奥にまで達することを望まれました。この世界でわたしたちが主を見いだせるよう、主は、上からではなく内から訪れてくださいます。聖体において、充満はすでに実現されています。それは万物のいのちの源であり、愛とくみ尽くすことのできないいのちとがあふれ出る泉です。全宇宙は、聖体の中に現存なさる受肉した御子に結ばれて、神に感謝をささげます。実に、聖体は、宇宙的な愛の行為そのものです。「そうです、それは確かに宇宙的です。なぜなら、たとえ田舎のささやかな祭壇で行われていたとしても、感謝の祭儀はつねにある意味で『世界という祭壇の上で』行われているからです」。聖体は、天と地を結び、被造界全体を抱き、そして貫きます。神のみ手から生まれ出た世界は、全被造物が喜びにあふれ一つになって礼拝することを通して、神に帰るのです。すなわち、聖体であるパンにおいて、「被造界は、神化へと、聖なる婚宴へと、創造主ご自身との一致へと向かうようにと造られています」。それゆえ聖体は、被造界全体の信託管理人であるようわたしたちを導く、環境への関心を照らし生かす光と力の源でもあります。

 聖堂でのミサに与り、至聖なる聖体の秘跡にまします至聖贖罪主イエズス・キリストを自らのうちにお迎えすることで、イエズス・キリストは私たち一人一人を内側から神様の愛と慈しみで満たしてくださいます。これは、全宇宙の王、「王であるキリスト(パントクラトール)」が聖体拝領を通して、私たちの心と体と魂の一番中心にある玉座に着座してくださることによって生じます。

 9月中、聖堂でのミサに与ることができた方は、ぜひ、ご自分が受けた聖体の秘跡から頂く恵みを、ご自分の守護の天使を通して、まずは末吉町教会の、次いで、全世界の、ミサに与ることができない信徒たちの守護の天使へとおすそ分けしようという祈りの意向を持って受けるようにして下さい。また、9月1日からは「すべてのいのちを守るためのキリスト者の祈り」を毎日お捧げください。

【すべてのいのちを守るためのキリスト者の祈り】

 宇宙万物の造り主である神よ、あなたはお造りになったすべてのものをご自分の優しさで包んでくださいます。

 わたしたちが傷つけてしまった地球と、この世界で見捨てられ、忘れ去られた人々の叫びに気づくことができるよう、一人ひとりの心を照らしてください。

 無関心を遠ざけ、貧しい人や弱い人を支え、ともに暮らす家である地球を大切にできるよう、わたしたちの役割を示して下さい。

 すべてのいのちを守るため、よりよい未来をひらくために、聖霊の力と光でわたしたちをとらえ、あなたの愛の道具として遣わしてください。

 すべての被造物とともにあなたを賛美することができますように。

 わたしたちの主イエス・キリストによって。アーメン。

(二〇二〇年五月八日 日本カトリック司教協議会認可)

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