大天使と守護の天使たち

大天使と守護の天使たち

末吉町教会主任司祭 ヨゼフ 濱田 壮久神父

  9月中は横浜教区にとっても日本のカトリック教会にとっても大きな喜びとなる叙階式がありました。横浜教区にとっては9月15日(土)に横浜カテドラルである山手教会で梅村司教様によってフィリポ崔源太(チェ・ウォンテ)神父様が横浜教区司祭として叙階されました。崔神父様は、ペトロ李炳憲(イ・ビョンホン)神父様が来日前からその召命の歩みに関わってきたということで、ソウル大司教区の助祭として叙階された後、かねてから李神父様に宣教師として日本に来る可能性についてご相談していたこともあり、横浜教区への移籍を願ったそうです。こうして、一人の若い宣教師が私たち横浜教区に移籍してくださり、これからの一生を横浜教区の私たちのために捧げて下さることは本当に大きな喜びです。

この写真は、叙階式ミサ後に右から私、崔神父様、李神父様、フィリピン留学中の田邊神父様とで撮った写真です。

  日本の教会にとって大きな喜びは、5年4か月にわたって空位が続いていたさいたま教区司教として、サレジオ会日本管区長のマリオ山野内倫明司教様がフランシスコ教皇様によって任命され、9月24日(月)に浦和にある明の星学園中学高等学校のジュビリーホールで司教叙階式が執り行われました。なお、日本語では司祭も司教も「叙階」という訳語を用いていますが、司祭の「叙階」は”Ordinatio”(オルディナツィオ、「位階への加入」の意味)と言い、司教の「叙階」は”Consecratio”(コンセクラツィオ、「聖別」・「奉献」の意味)と言うので、概念が全く異なります。

  山野内司教様は8歳で家族ごとアルゼンチンに移住し、アルゼンチンでサレジオ会に入会しました。そしてアルゼンチン管区で修練長や修道院長をなさった後、1997年に日本管区に移られました。私は神学生時代から山野内司教様にお世話になっていたこともあり、2007年の私の司祭叙階式には山野内神父様(当時)も来て下さいました。そして、司祭団の一員として按手をして下さり司祭団に迎え入れて下さいました。今回、山野内司教様が横浜教区と同じく多国籍の信徒が多数居住しているさいたま教区で教区長として着座なさったことは、さいたま教区の未来にとってとても大きな希望の印になると思います。さいたま教区の皆様、本当におめでとうございます。

右の写真は山野内司教様とお母様と、司教様の弟さんで浜松教会主任の山野内神父様と一緒に撮影したものです。

なお、10月8日(月)には鹿児島教区で日本カトリック神学院院長のフランシスコ・ザビエル中野裕明被選司教様の司教叙階式が執り行われる予定です。今年は、大阪大司教区での前田枢機卿様の枢機卿親任、酒井、アベイヤ両補佐司教様の司教叙階、さいたま教区での山野内司教様の司教叙階、鹿児島教区での中野被選司教様の司教叙階と、大きな喜びが続き、さらには、来年の秋ごろ、フランシスコ教皇様の来日も発表されました。神様の恵みに満たされて、日本におけるカトリック教会がイエズス・キリストの福音を多くの人に告げ知らせることが出来るように心を合わせて祈りながら歩んでまいりましょう。

 さて、カトリック教会では、聖書に基づいて、伝統的に昔から天使を大切にしてきました。そして、毎年9月29日には「大天使聖ミカエル、ガブリエル、ラファエル」の祝日を祝います。また、10月2日には「守護の天使」の記念日を祝います。

天使達について、Youcat(Youth Catechism,若者用カテキズム)54項「天使って、何?」では、

 「天使は純粋に霊的な被造物で、知性と意思を持っているんだ。肉体はなく、死ぬこともなく、ふつうは目に見えない。神のおられるところにいつもいて、人々に御旨(みむね)や神の保護を伝えるんだよ。」と教えています。

カトリック教会の偉大な聖人、左側のイコンに描かれている大聖バジリオ(330A.D.頃-379年)は天使達について「天使は、信じる一人ひとりのかたわらに立ち、あなたがいのちへ導かれるまで、保護者や牧者となってくれる。」と教えています。

大天使(だいてんし)聖(せい)ミカエル、ガブリエル、ラファエル

カトリック教会では、9月29日に大天使ミカエル、ガブリエル、ラファエルのお祝いをします。3人の大天使の名前にはそれぞれ特別な意味が込められています。

  右の御絵(ごえ)は大天使ミカエルですが、ミカエルは「天軍の総帥(そうすい)」、という称号を持っています。そして、悪魔との霊的な戦いで、いつも大きな役割を果たしています。ミカエルという名前は、ヘブライ語ですが、「神に似ている者は誰か?」という意味で、反語的表現として「神を超えるものは誰もいない」という意味を表しています。なお、ミカエルは”Michael”と書くので、ミヒァエル、マイケル、ミケーレなどの発音で、人名にも多くつけられています。

聖書の中では、ミカエルについて黙示録で次のように記されています。

【黙示録12章1節~12節】

12・01 また、天に大きなしるしが現れた。一人の女が身に太陽をまとい、月を足の下にし、頭には十二の星の冠をかぶっていた。12・02 女は身ごもっていたが、子を産む痛みと苦しみのため叫んでいた。12・03 また、もう一つのしるしが天に現れた。見よ、火のように赤い大きな竜である。これには七つの頭と十本の角があって、その頭に七つの冠をかぶっていた。 12・04 竜の尾は、天の星の三分の一を掃き寄せて、地上に投げつけた。そして、竜は子を産もうとしている女の前に立ちはだかり、産んだら、その子を食べてしまおうとしていた。12・05 女は男の子を産んだ。この子は、鉄の杖ですべての国民を治めることになっていた。子は神のもとへ、その玉座へ引き上げられた。12・06 女は荒れ野へ逃げ込んだ。そこには、この女が千二百六十日の間養われるように、神の用意された場所があった。12・07 さて、天で戦いが起こった。ミカエルとその使いたちが、竜に戦いを挑んだのである。竜とその使いたちも応戦したが、12・08 勝てなかった。そして、もはや天には彼らの居場所がなくなった。12・09 この巨大な竜、年を経た蛇、悪魔とかサタンとか呼ばれるもの、全人類を惑わす者は、投げ落とされた。地上に投げ落とされたのである。その使いたちも、もろともに投げ落とされた。 12・10 わたしは、天で大きな声が次のように言うのを、聞いた。

「今や、我々の神の救いと力と支配が現れた。神のメシアの権威が現れた。我々の兄弟たちを告発する者、昼も夜も我々の神の御前で彼らを告発する者が、投げ落とされたからである。 12・11 兄弟たちは、小羊の血と自分たちの証しの言葉とで、彼に打ち勝った。彼らは、死に至るまで命を惜しまなかった。 12・12 このゆえに、もろもろの天と、その中に住む者たちよ、喜べ。」

  右の御絵(ごえ)は大天使ガブリエルですが、ガブリエルは聖母マリアに神の御子イエズス・キリストの受胎告知を行ったことで有名です。ガブリエルという名前もヘブライ語ですが、「神が私の力」という意味です。

  左の御絵は大天使ラファエルですが、ラファエルの名前もヘブライ語で、「神は癒される」とか、「神の薬」、という意味です。横浜教区司教である梅村司教様の霊名がラファエルですから、私たち横浜教区のカトリック信者にとってはミサの度に祈りの中で唱えられる名前ということで、最も馴染みのある大天使だと思います。

大天使ラファエルについては、旧約聖書のトビト記に記されています。トビト記では、大天使ラファエルがとても大切なことを若者であるトビトに教えました。

【トビト記12章6節~18節】

12・06ラファエルはトビトとトビアの二人だけを呼び寄せて言った。「いつも神をほめたたえていなさい。神があなたがたのためにしてくださった数々の恵みをすべての人々に告げて感謝し、人々が神の御名をほめたたえ、賛美の歌をうたうようにしなさい。神がなさったことを、畏敬の念をもってすべての人々に語り、神に感謝することをためらってはなりません。12・07 王の秘密は隠されていて当然だが、神のもろもろの御業は明らかにされ、畏敬の念をもって宣べ伝えられるべきです。善い業に励みなさい。そうすれば災いに遭うことはありません。12・08 真実をもって祈りをささげ、正義をもって慈善の業をする方が、不正を行って金持ちとなるよりも、よいことです。金をため込むよりも慈善の業をする方がはるかにすばらしいことなのです。12・09 慈善の業は、死を遠ざけ、すべての罪を清めます。慈善を行う者は、幸せな人生を送ることができます。12・10 罪を犯し、不正を行う者は、自分自身を不幸にするのです。12・11 わたしはあなたがたに、真実をことごとく明らかにし、何一つとして隠すことはしません。『王の秘密は隠されていて当然だが、神のもろもろの御業は畏敬の念をもって明らかにされるべきだ』とはっきりとあなたがたに言ったとおりです。12・12 さて、今だから言うが、トビトよ、あなたが祈り、サラが祈ったとき、その祈りが聞き届けられるように、栄光に輝く主の御前で執り成しをしたのは、だれあろうわたしだったのだ。あなたが死者を葬っていたときもそうだった。12・13 あなたが食事にも手をつけないで、ためらわずに出て行き、死者を手厚く葬ったとき、12・14 わたしは試みるためにあなたのもとに遣わされて来たのだ。神はまた、あなたと嫁のサラをいやすためにわたしをお遣わしになった。 12・15 わたしは、栄光に輝く主の御前に仕えている七人の天使の一人、ラファエルである。」

12・16 トビトとトビアの二人は驚いてひれ伏し、恐れおののいた。12・17 ラファエルは二人に告げた。「恐れることはない。安心しなさい。とこしえに神をほめたたえなさい。12・18 わたしがあなたがたと共にいたのは、あなたがたに好意を持っていたからというより、神がそう望まれたからである。日々、神をほめたたえ、賛美の歌をささげなさい。」

守護の天使

  カトリック教会では、一人ひとりに神さまから守護の天使が送られて、人生の旅路を一緒に歩み、守って下さっていることを固く信じています。そこで、10月2日には全世界の教会で全ての守護の天使を讃えてお祝いします。

旧約聖書の詩編91番には、「91・11 主はあなたのために、御使いに命じて /あなたの道のどこにおいても守らせてくださる。/91・12 彼らはあなたをその手にのせて運び 足が石に当たらないように守る。」と記されています。

天使への祈りとしては、以下の「守護の天使への祈り」や、1886年にレオ13世教皇様によってミサ後に唱える祈りとしてミサ典礼書に収載された「大天使ミカエルへの祈り」等があります。末吉町教会では、毎ミサ後に、司祭と侍者とでこの「大天使ミカエルへの祈り」を捧げています。

【守護の天使への祈り”Angele Dei”】

わたしの守護者である神の使いよ、

天のあわれみによってあなたにゆだねられるわたしを

照らし、守り、治め、導いてください。アーメン。

Angele Dei, qui custos es mei, me, tibi commissum pietate superna, 

illumina, custodi, rege et guberuna. Amen.

【大天使ミカエルへの祈り(レオ13世の祈り)】

大天使聖ミカエル、戦いにおいてわれらを護り、悪魔の凶悪なる謀計(はかりごと)に勝たしめ給え。天主のかれに命を下し給わんことを伏して願い奉る。あゝ天軍の総帥、霊魂をそこなわんとてこの世をはいかいするサタンおよびその他の悪魔を、天主の御力によりて地獄に閉込め給え。アーメン。

至聖なるイエズスの聖心、われらをあわれみたまえ(この部分を3回繰り返す)。

この10月は、私たち一人一人が天使たちに守られていることに気づき、神さまの恵みに満たされていることへの感謝のうちに過ごすことが出来ると素晴らしいですね。

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